
突然の音信不通、そして一言のLINEだけでバイトを辞めたコウダイ。それでもなぜか、あおいの働くバーにふらりと現れた。「会いに来たに決まってんじゃん」留学前、置いていかれる側の気持ちを置き去りにしたまま、コウダイは軽口を叩く。でもその言葉の奥に、少しだけ本音が見えた。ぶつけられない想い。ふざけ合いのなかに滲む寂しさ。『友達』の境界を越えた夜、記憶も身体も、全部コウダイに掴まれていくあおい。「向こう行っても、これ見たらお前のこと思い出せるでしょ」本気じゃない『ふり』の奥にある、お互いがまだ整理できていない『好きかもしれない気持ち』。それでも、今は名前をつけないままで――。