夢幻童の再録（中心）短編集第三弾。
・収録作品
「春は霧の向こう」 A5 PDF 56P 挿絵5+1(カラー2)
初出は2006年10/10という合同CD企画に寄稿したもの。10/10ではしんさんによるフルカラー挿絵5枚とのコラボレーション。今回夢幻童名義での発行のために挿絵は筆者自ら描き下ろし。2万字以上のボリュームがあり同人作品としては中編の部類。旅ものでストーリー性が高く、エロスもかなり濃厚。
北国の春はまだ遠く、四月になっても湿った雪が降る。卒業したばかりの少年直希は、ヒッチハイクで、長距離トラックドライバー数馬に拾われた。晴れの入学を前に、家出して東京の父に合いに行くという直希の抱える秘密とは何か。いかつい三十男で、少年愛者である数馬は、悪意と愛情の狭間で揺れる。本州行きのフェリーの中で、ドラマは急展開する。
「合鍵 灰色の瞳」 A5 本文20P 挿絵3
今日も僕のポケットの中には、《あいつ》の部屋の合鍵がある。WEB連載の「合鍵」の外伝。たまり場に通う屈折した孤独な少年と、国籍も家もわからない幼い男の子との出会い。たまり場の異分子である幼い子に、他の少年達の攻撃の矛先が向きはじめ……。
「夏の思い出」 B6 本文11P 挿絵1
過去のWeb発表商品にカラー挿絵を一枚描き下ろし。
養護施設で育った祐樹という名の少年は、俺にべったり懐いてキスでも拒まないくらいだったが、どうしても裸を見せてはくれなかった。夏祭りの夜、日頃みすぼらしい同じ服ばかり着せられている彼が、珍しく浴衣をまとって現れた。境内のほこらで、俺は今日一線を超える決意を固めていたのだが……。三編とも秋に全く関係ありませんが（笑）、共通項としては夏号に比べると濃厚なエロスは変わらないものの無理矢理色は薄く、切ないカラーとなっています。