

ゲイ官能小説を三本収録。
『七年目の浮気』
三十代のカップルがホテルのプールで気だるく寝そべっている。七年続いた二人は旅先ではしゃぐこともない。バンコクにやってきたのは観光のためでも、買い物のためでもない。二人で現地の男を「調達」して事に及ぶためだった……。
倦怠期にどっぷりとつかっている男同士のカップル。それぞれ好きにすればいいとは思っていても、浮気もできず、刺激を求め旅先での3Pを選ぶ。ずっと二人きりでしていたことを三人ですれば興奮もするが、公認とはいえ罪の意識を覚えてきて……。初出『バディ』。倦怠と官能を描いた短編小説。ゲイカップルの一日シリーズ第11弾。同シリーズ『新婚さんいらっしゃい』とリンクしていますが、どちらから読んでも問題ありません。どちらだけ読んでも問題ありません。
『同棲』
★★★
僕としゅういちの同棲生活がはじまったのは一年くらい前のことだ。
当時、僕たちはそろって同じ大学の三年に上がったところだった。でも、学部が違っていたから、付き合うようになるまではお互いの存在をまったく知らなかった。きっかけは、とあるインターネットの掲示板で、僕が同じ大学で友達を募集したことで、唯一連絡をとってきたのがしゅういちだった。会ったその日にセックスをして、次の週には、二人で暮らせるアパートを探そうと引っ張り回されていた。
それまで、僕はまともに誰かと付き合ったことがなくて、しゅういちともせいぜいセックスフレンドどまりだろうと思っていた。なのに、気がつけばもう一年も一緒に生活している。ほんと、こういうことって運しだいで、進む時はトントンと進んでしまう。だけど、それは反面、先のことはなんにもわからないってことだ。大学生の間はともかく、卒業した後は二人の生き方も違ってくる。住む世界も変わってくる。いつまで今のような関係が続けられるのか……。★★★
大学生のカップル、しゅういちと「僕」。二人でいると楽しいし今はなにもかもうまくいっているように思える。しかし弁護士になるという進路の決まっている「僕」とちがい、しゅういちは毎日就職活動しながらひとつも内定がもらえていない。
卒業後の二人の関係がまるで見えない不安を感じながら、慎ましくも性欲旺盛な生活を送っている若い二人の日常を描いた短編。初出『バディ』。ゲイカップルの一日シリーズ第九弾。
『謎の男』
将来を嘱望されている二十五歳のエリートサラリーマン。顔はハンサムだし体つきも締まっている。いつもクールでやり手とされているが、内実は奉仕願望の強いドM。最近付き合い出した恋人は同じ会社のダメ社員だが、セックスはドSで相性ぴったり。しかしどこか謎の多い男でまだ得体が知れない。そんな時、社内で○人事件が巻き起こり、主人公は恋人を疑ってしまう。
初出『バディ』。連作ゲイカップルの一日シリーズの第三回。ユーモア小説。