
「僕を見て。僕自身を――」
全寮制の名門男子校へと足を踏み入れた福沢祐樹。彼を待ち受けていたのは、息の詰まるよ
うな規則で縛られた「硝子の城」であった。
そんな不安に胸震わせる祐樹と出会ったのは、学園一の問題児にして、孤独な野獣・小笠原
祥だった。
彼に亡くした兄の面影を見出した祐樹であったが、その粗暴な振る舞いによって拒絶されて
しまう。
二人の間に起った諍いから祐樹を救ったのは、学園の絶対的支配者である生徒会長・所沢雅
人だった。
雅人は亡き友への狂気的な執着から、祐樹を「完璧なレプリカ」へと作り変えようと画策す
る。
冷たく美しい硝子の靴を無理やり履かされ、甘美な洗脳と支配に身を委ねていく祐樹。彼は
次第に、自分自身の輪郭を失い、息も絶え絶えになっていく。
そんな息の詰まるような状況を予見していたのは、祐樹を一度は拒絶した祥であった。
彼だけが、祐樹の纏う完璧な仮面を冷笑し、その奥で泣き叫んでいる「生身の福沢祐樹」を
正確に見抜いていた。
互いの欠落と家族から受けた傷を容赦なく抉り合ううち、二人はいつしか、似た者同士とし
て奇妙な共犯関係へと堕ちていく。
運命の嵐の夜。
雅人の執着が臨界点に達し、祐樹の精神を完全に飲み込もうとしたその時、硝子の窓を叩き
割って現れたのは祥だった。
雅人の冷徹な支配から祐樹を奪い去った祥は、その熱い体温と野蛮な愛撫で、祐樹の身体に
刻まれた呪いを乱暴に、けれどどこまでも甘く「上書き」していく。
痛みと快楽の果て、兄への劣等感というフィルターを壊された祐樹は、初めて自分自身の足
で立ち上がることを決意する。
そして、敗北を認めて静かに学園を去る雅人との決別。
すべてが終わった後の光溢れる温室で、二人はようやく偽りのない姿で向き合う。
曇った硝子も、歪んだレンズも、もういらない。ありのままの「真心」だけで見つめ合った
時、共犯者たちのいびつな恋は、かけがえのない真実の愛へと昇華される。
これは、傷だらけの少年たちが、痛みと共に本物の愛を手に入れるまでの、凄絶で美しい再
生の物語。※表紙画像にはAI画像作成ツールを使用し、作品イメージに合わせて調整・編集を行っています。本文はオリジナル小説作品です。